「ひとりある身はなんとせう!」

 伏見のお稲荷さんを一巡り。登る最中軽く汗ばむくらいの良いお日和でよう御座いました。山の中で食べるキツネうどん*1も乙なものです。さらに疲れた体にとろりと香る甘酒が大変美味しかったです。


夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

 それはそれとして、お参りした後は流石に疲れましたので、一日読書ですごしました。読んだのは実家にある伯母の本棚から抜き出してきた『歌行燈・高野聖』に、徳間文庫版『おもいでエマノン』と森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』。泉鏡花の「高野聖」に関してはいまさら言うこともありませんが、改めて読んでみて、その文章の艶やかさというか、ぶっちゃけていうとエロさに驚き。
 「おもいでエマノン」は処々に年代を感じさせるけれど、とても爽やかな読み口ですっきり。デュアル文庫版と続編も買おうと決意。
 「夜は短し歩けよ乙女」、特に鏡花とは方向が違うとはいえ、上記二つの名作を読んだ後でもこれは実に面白かった。ぜひ在・京都な方に呼んでほしい一品。知らなくても楽しめるけれど、知っていれば更に楽しめる。天然な「彼女」にほれて、延々と空回りする「私」氏がとても素敵。「奇遇ですね」「たまたま通りかかったものだから」と、外堀を埋めて埋めて埋め続けていた私氏の、風邪で寝込んだ万年床における「しかし、諸君!」で始まる脳内演説は泣ける。筆者の著作はこれが初めてなので、他の作品のもてを出してみる予定。とりあえず日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『太陽の塔』は手元にあるのでまずはそれから。

*1:けつねうろん?