『ジャーヘッド』



【ストーリー】
祖父も父も“ジャーヘッド”(ポットのように刈り上げた頭=頭が空っぽの海兵隊員)という青年スオフォード。18歳になって迷わず海兵隊に入隊した彼は、新兵訓練という名の虐待に耐えきり、偵察狙撃隊STAの候補に抜擢される。過酷な訓練の末、60名の候補者から絞り込まれた8名に残ったスオフォードは、1発の銃弾に命を賭けるエキスパートへと成長していく。そんな折、CBSニュースがイラククウェート侵攻を告げる。出撃の時を前に、アドレナリンを発散させる若き兵士たち。ついにスオフォードの戦争が始まろうとしていた。


区分としては戦争映画なのだが、むしろ青春映画のカテゴリーに入れたほうが腑に落ちる作品。悩める青年スオフォードを中心に、挫折と成長を描いている。勿論その過程は全て海兵隊員としての自分と繋がってくるので、普通の青春映画における苦悩とは隔しているが。詳しくは書かないが、構成は見事。ぜひ最後まで、スオフォードに感情移入して観て欲しい。映像もまたよい。真っ黒い砂漠に続く、白い足跡。どす汚れた闇の中で煌々と燃える油田。まさに劇中でスオフォードらを率いる三等曹長が、海兵隊を愛する理由として述べた「こんな景色が他のどこで見れるか」というセリフの通り。油混じりの雨の中、穴を掘るシーンなど、まるで地獄のような美しさ。欠点は同じ髪型、同じ服装のため、人物の区別がつきにくいことと、『フルメタルジャケット』という大傑作が存在したことか。海兵隊の新兵訓練がどう見てもフルメタルジャケット劣化コピーです。本当にありがとうございました。