かもめ食堂



【ストーリー】
ハラゴシラエして歩くのだ。


ぷっくり太ったカモメたちがユルリと青空を飛ぶ、北欧の港町ヘルシンキ。その片隅にひっそりとたたずむ小さな食堂、「かもめ食堂」。店主の日本人女性サチエは、純朴なヘルシンキの人々に純朴な日本の「おにぎり」を食べてもらいたいと、今日もアツアツのご飯を握るけれど、客足はからっきし。それでもめげないサチエのかもめ食堂に、訳ありげ気な日本人女性ふたりが転がり込んできた・・・。日本映画初、オール・フィンランドロケ。群ようこの原作に3人の実力派女優が共演し、観る者に元気を与えてくれる物語。


 良い映画でした。幾つか玉瑕だなと思うシーンもありましたが*1、全体的に良く纏まっているかと。話の流れは、事件があってそれを解決するというハリウッド式のストーリー建てではなく、もっともっと長い物語(=一生)の、ある点からある点まで切り取ったのを今見ているという風か。だから明かされない謎、というか設定も多いが、それでもまぁいいかと思えてくる。役柄に対してサチエ役の小林聡美が少し美人過ぎる様な気もするが(子供の頃から合気道をやっているという設定で相殺か?)、主役三人にフィンランド人役俳優たちも非常に魅力的だ。中でももたいまさことか日本オタクの青年とか美味し過ぎる。あーいるよな、こんな奴的な適度な痛さ>青年。
 さて、この映画の中で特に秀逸なのは、映像における間の取り方だろうと思う。ちょっとしたタイミングの取り方の違いのおかげで、とてもユーモラスに仕上がっている。個人的にこの間の取り方は非常にコミック的なものに思えるのだが。それとも普段あまり邦画を見ないからそう思っただけで、邦画の撮り方としてはそう変わったものではないのだろうか。それならそれで、日本的な文脈の捉え方として興味深い。


ムーミン谷の冬 (講談社文庫)

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にょろにょろは電気を食べる、らしい。



追記
この映画はね、見てたらね、とてもね、お腹が空くのよね。
映画公開中はどっかと提携して、かもめ食堂のメニューが食べられる場所があるらしい。チェックしとけばよかったか。

*1:例えばモノローグ、例えばプールでの拍手