『厭魅の如き憑くもの』

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

                       <ストーリー>
憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女―。そして「僕」が遭遇した、恐るべき怪死を遂げてゆく人々と謎の数々…。奇才が放つ、ミステリーとホラーの禍々しい結晶、ついに昇華。



 上のストーリーは設定のみでストーリーになってないよなぁと思いつつ「BOOK」データベースより貼り。
 中々面白かった。が、探偵役である「僕」によって「小説と言う形に仕立てられているとはいえ、もとは各登場人物の日記や記述録」と言う形式で語られるので、話の構成上各自の日記に飛ぶたびにぶつ切り感が出てしっている。まさにこれから、と言う場面で他の人物に視点にかわるので、盛り上がりの行き場を失ってしまう。それに加えて、登場人物自身も語っているが、名前の読みが「サギリ」となるのが六名(故人も含む)も出てくるのでややこしくて仕方がない。中盤以降は大体のキャラクタも掴めて来るので、特に問題も無いのだが、読み始めは冒頭の人名録と首っ引き。
 謳い文句の「ミステリーとホラーの禍々しい結晶」としては謎解きというテーマ上仕方がないが終盤のホラー分が足りないかなと思わなくもないが、序盤から丹念に伏線を張っていたのには好感が持てる。少なくとも読んで損はない。作者の前作と一部の登場人物が関係あると聞いたので、今度買ってこようかと考えるくらいには良書。場面場面は優れている。問題はやはり構成か。
 個人的には謎解きの最終場面、「犯人」が明かされるシーンが非常にツボ。