読書雑感

 いわく暗殺者(アサシン)、ハシシを吸う者、山の翁(山の長老)。多くの奇怪な名で呼ばれ、暗殺という手段を用いて10世紀末から13世紀中ごろまで、イスラム圏だけではなく遠くキリスト教圏までその名を響かせたニザリ・イスマイリ教国を追った著。
 前半でその成立からの歴史を主に、後半でその思想を主に語っている。
 語っているのだが、


・ニザリ派を語るには無駄だと思われる部分がある。
・用語の説明が不十分。
・そもそも文章が拙い。


 上記のような理由から一冊の本としてはまとまりに欠けてしまっており、読んでいて楽しめるものには仕上がっていない。
 それにこの本は、1964年に書かれたものの新装版であるため、古い文献の常として、最新の研究成果とくらべて不十分で不正確な部分も見受けられた。


 いまいちでした。いや山の翁の末裔を名乗る一族が、実は現在でもインド有数の金持ちをやってる、とか楽しめるところもあったのですが……。出た当時は名著だったんだろうなぁ。