「路地裏の大英帝国 イギリス都市生活史」

路地裏の大英帝国―イギリス都市生活史 (平凡社ライブラリー)

路地裏の大英帝国―イギリス都市生活史 (平凡社ライブラリー)

 18世紀から19世紀の大英帝国の黄金期。いち早く産業革命を成し遂げ、世界を席巻した、いわゆるヴィクトリア時代の英国を日常生活の面から眺めている。もとは1982年に発行されたものの再刊。著者の一人、川北稔には『砂糖の世界史』や『洒落者たちのイギリス史』など名著多し。
 各章は、


1 都市文化の誕生
2 家庭と消費生活
3 白いパンと一杯の紅茶―庶民の食べ物
4 病気の社会史―工業化と伝染病
5 いざというときに備えて―保険金幼児殺人事件
6 ヴィクトリア時代の家事使用人
7 地方都市の生活環境
8 リゾート都市とレジャー
9 パブと飲酒


で構成されており、この中で特に興味深かったのが第9章「パブと飲酒」。パブとはつまり「パブリック・ハウス」、すなわち公共の家である。パブは時代と種類によって異なるがもともとは宗教・政治・経済等について議論する場であり、宿屋であり、フットボールや闘鶏といったゲームの重要なプロモーターであり、労働組合の所在地であり、職業斡旋状であり、労働者の賃金の受け渡し場所ですらあった。それほど多面的な役割を持ち社会生活の中心にあったパブがいまや大衆酒場の地位に落ち着く過程を動物虐待防止運動、禁酒運動、都市アメニティの充実などから語られている。


 ところでこの本を読んだのは『エマ』森薫)関連であの時代に興味を持ったからなのですが、そこら辺りについては第六章が詳しい。もともと家事使用人は男性が主であったことや、それがなぜ女性中心に代わったのかについて、それにいわゆるメイド服が誕生した理由など、へぇーと思わせる内容で一杯でした。
 あの時代に興味を持っている人はぜひどうぞ。


ついでに面白いサイトを見つけたので紹介。
http://homepage3.nifty.com/shinkukan/seminar/semi00_01.htm

訂正。
社会史学ゼミメイドさん社会史学ゼミ」


いや、内容はとてもマジメデスヨ?