「傭兵の二千年史」

傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

 「古代ギリシアの民主制の崩壊に始まり、中世を経て、ナポレオンの時代に至るまで、歴史の転換点で活躍したのは多くの傭兵たちだった!」と本書の煽り文句にあるように、「世界で二番目に古い職業(一番目は言うまでも無く娼婦)」が世界の歴史においてどのような役割を果たしたかを、分かりやすく解説している。
 ただし二千年史と謳う割りには、中世のスイス人傭兵とランツクネヒト(ドイツ南部出身者による傭兵)の説明に偏っており(全十三章中、九章)、初期のギリシアや現代の傭兵、非ヨーロッパ圏のそれについては内容が薄い。もちろん、その分前者の説明に関しては克明で、一読の価値あり。
 個人的には市民軍の始まりになったオランダ独立戦争ネーデルラント北部七州が当時の超大国スペインに独立を挑んで起こした戦争)のくだりなどはとても魅力的。